一月二十六日 画狂老人卍
江戸東京博物館に北斎展を観に行く。
入場してすぐの付近では
人の後頭部ばかりが目につき正直うんざり。
例えば、ワタシはどんなに美味いと評判の店でも
並ぶくらいなら二番手三番手あるいはまったく関係ない
焼き鳥屋とかでかまわないと思ってしまう方である。
が、しかし、ここは根気良くじりじりと進むことにした。
じりじり観ても大変面白かった。
帰りの電車内
隣に座っている見ず知らずの若い女子が
激しく舟を漕いだあげくワタシの右肩に止った。
真隣りゆえ、どんな女子か顔は分からねど香水がきつい。
内心「うっ」とはなりつつも
右肩のささやかな重みに関しては、まぁしょうがあんめえと放置。
時折、電車の揺れに呼応してガッコンガッコンと
こめかみをワタシの右肩に打ち付けている。
…アナタ痛くないのか?…ワタシは痛いよ。
しばらくして
彼女の降車駅が先にきたようだ。
扉が開いてから慌てて立ち上がったその女子は
しかしそのまま駆け出さずにくるりとこちらに向き直った。
そして、ワタシの目をしっかりととらえて
照れたように目だけで微笑んで「どうも」と小さな声で言ってから
さぁーっとホームへと降りて行ったのだ。
!!?
…
…あらま。…うむ。
どうも、…「すいません」だったのか?
どうも、…「ありがとう」だったのか?
ありがとうだったらいいなぁ、となんとなく思ったのだった。