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翔 ぶ 魚

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vol.88 灯台守

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隠居生活って憧れありませんか?
ワタシはあります。
別に今の仕事を辞めて家庭に入りたいってことではない。

また、田舎に土地を買っての自給自足の農耕生活でもない。
もちろん、山深くに隠っての霞を喰らう仙人生活でもない。
だから、正確には半隠居生活。

ワタシの場合
例えばそれは「灯台守」。
転職するなら就きたい仕事ナンバーワンだった。
小さな島で、むろん住処も灯台の中。
灯台の根元の方が二階分くらい住居スペースになっていて
一階が台所兼居間。二階が寝室。2へやのみ。
毎日の仕事は最上階にある灯台のレンズを磨いて
曇りのない明かりを海に提供すること。

円形の部屋の中でつつましく
穏やかに生活するイメージは子供の頃からの憧れだった。
実際の灯台守は灯台内に住むってことはなかったろうし
毎日の仕事がレンズ磨くだけってこともなかったろうが。

絵本の中で擬人化された森の動物が
木の幹の家の中で生活してるイメージってやつですか?
ディ○ニーじゃなくアーネスト・H・シェパード描くところの
「くまのプーさん」の家っていうか
名作「たのしい川べ」でアナグマさんが住む家っぽいかんじよ。
室内が狭くて丸くてなんでも揃っていて
冬は達磨ストーブで料理作っちゃうかんじよ。
それの灯台版っていう勝手なイメージがあったのさ。

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…ショックである。
日本ではもはや有人の灯台は存在しないのだ。
2006年11月12日に長崎県沖の女島灯台が
最後の有人灯台としての役割を終え自動化されて
同年内には「灯台守」は、
国内約3300カ所のすべての灯台から姿を消したそうな。
…去年じゃん!
一足おそかった。無念。

まあ、去年までは確実に存在していたということも
なかなか感動なのだが
もう存在しないというのはかなり衝撃だった。

「なろうと思えばなれる可能性はあるけど、ならない。」
のと、
「どんなになりたくても、もう絶対になれない」
の間には、かなりな差があるよねぇ。

どうせ、本気ではなる気が無かったんだったらいいじゃん
ってことじゃないんだよなー。
なろうと思えばなれる。
(たとえ誤解に満ちた実物とはかけ離れたイメージでも)
その可能性が幸福な妄想を助けてくれる。
ひいては現実世界で受ける軋轢の緩和剤になってくれる。
ってことなのよ。

はあ。
ま、じゃ、しょうがない。灯台守にはかなわないけど
別の憧れ隠居生活を夢想用に考えてみた。

1. 小さなタバコ屋の店番。意外に豊富な品揃えを誇る。
2. 小さな私立図書館の貸し借りカウンターの人。
3. 屋台車を使っての移動バー。

2はなぜ「司書」と言わないのかというと
…司書資格を持っていないから。だから私立の図書館ね。
辞典・辞書専門みたいなあまり借りての来ないとこが望ましい。
学芸員資格はとったのになぁ。
今となっては司書資格にしときゃよかったな。ち。

3は本気度数が高いよ。花見客をあてこんで、
日本列島最南端から桜前線とともに北上予定。

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…て、夢想してないで仕事しろよ。

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個人的な内容に走りすぎたかしら。ま、いっか。
by omifish | 2007-02-28 18:22 | white>black

vol.87 謂われなき対決

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ものすごく睨まれている。

こっそり冷たい視線を投げ掛けられる
なんてレベルではないのだ。
真っ正面からズバーンと直球で
それこそ「親の仇」みたいな目で射抜かれている。

どうしたものか。
なぜなら全く知らない人なのである。
ガラガラに空いた京急線の中である。
真っ正面に対峙するかたちで座ってる女子である。
目と目が合っても逸らすそぶりも無い。
…困った。
ワタシ、何かしましたか?
何処かで会ってますか?
しかし、その電車は滅多に利用しないのだ。
以前にも乗り合わせたなんていう可能性も低いしなー。
ワタシが座っていた車両に
後の駅から乗ってきた人なので
同じホームでうっかり足を踏んだとかも無いしなー。

人違いかなー。
ワタシが憎い誰かに似てるのかなー。とほほ。
と、思いつつも目線を逸らしたら負けじゃ。的なね。
野生の心理がはたらいて、
じーっと相手の目線をとらえたまま、
手元の文庫本を静かにパタリと閉じる。
…長期戦覚悟の構えである。

ただし
こちらには何の恨みも無いので睨み返すわけにもいかず。
かといって愛想笑いを投げかける雰囲気でもなく
無表情にじーーーーーっと見つめかえす。
敵対心はありませんと伝わればいいなと思いつつ
じーーーーーーーーー
何か?的な
疑問符がひたいに浮かんでればいいなと思いつつ
じーーーーーーーーー
ギリリVSじーーー

両者まんじりともせず。
ええぇ。
これって傍から見たらどんな感じなの?
因縁の二人って感じなの?
あきらかに何のつながりも無い赤の他人には
出せない空気感を出しちゃってますよね?ワタシ達…
不穏な空気を感じ取ったらしい、隣のカップルが
興味ありげに見ている気配が伝わってきますよ。


な、なんだこりゃ。
自分の置かれてる状況が可笑しくなってきてしまった。
頬が緩みそうになるのをぎゅっと内側から噛みしめて
我慢するワタシ。

いかんいかん。
相手は真剣そのもの、直球勝負で挑んでるんだ。
ここで吹き出しては不謹慎だろ。
相手に失礼だろ。と己を戒める。

謂れの無い恨みを買う気はさらさら無いので
相手の恨み心の真相そっちのけで
こちらはこちらで勝手に脳内イメージを発動させて、
架空の試合にしたてあげてみたのだ。

…よく分からないリングに上がってしまった。

邪心には無心。
阿修羅のごとき面相に対抗するは
菩薩のような諦観、無心の眼差しじゃ。
地蔵のような無表情な半眼を試みる。

…で?
これは…
えーと。
どういう展開で勝敗が決まるのだろうか。
何をしたら一本になるのか。
隣のカップルとか、向こうの方にいるおじさんが
いきなりジャッジとかしてくれるんだろうか。
誰か早く「両者引き分け!」とか言ってくれ。

相手の睨みは増々凄みがきいてくる。
…脳内対決は続く。


降車する時に、笑顔でひたいの汗をぬぐいながら
良い試合でしたね!
と対戦相手に手を差し伸べたい心理に駆られたが
彼女の気持ちを逆なでして刺されたらコワいので止めといた。

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なんだったんだ。…なんだったの?
by omifish | 2007-02-26 16:42 | white>black

vol.86 春と豚

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どうも、どうも。
ご無沙汰しまくっております。

こいつ、
またどっか放浪しに行っちゃったんじゃないかと
思われてた方々。
ワタクシ、ほぼ、連日赤坂におりました。
自宅よりも赤坂。土日も赤坂。です。
おかげですっかり赤坂の美味しい店に詳しく…
なるわけも無く…全く無く…てやんでぇ。
ピンポイントで事務所のデスクにおりました。
いかな冬と言えども
なんか変に色白さ全開でっす。

さて
見苦しい言い訳も済んだところで
「春と豚」である。「春豚」。
別に中華の料理名じゃないよ。
辞書ひかなくていいよ。

ネタになるような出来事も皆無な日々のなか
ボーっと朝兼昼兼夜食を購入せんと
事務所近くのコンビニに向かう道すがら
前方にデッカい背中あり。
デッカくって半袖短パン。
2月ですよ。暖冬だけどね。
しかしこの風体にいがちな観光客風欧米人ではなく
坊主頭の「裸の大将」的な日本人成人男性一名様。
推定年齢40代前半。リュックしょってる。

ゆっくり、スィングしながら優雅に歩いてらっしゃる。
狭い舗道上いっぱいいっぱいのデカさゆえ、
脇から追い抜かすこともままならず
まあ、こちらも急ぐ旅路じゃございやせんし、と
ゆっくり後について歩く。

あら
…歌ってらっしゃいますよ。

「まいごのまいごの…」って
かの有名な、路上で記憶喪失に陥ってしまった
…子猫ちゃんの歌。

そのあまりのメジャーさゆえ、
彼の背後にぴったり付いてるかたちのワタシも
自然と頭の中で歌詞をなぞってしまうわけだ。

なまえーをきーてもわからないー
おうちーをきいてもわからないー…

はっ!
これってもしかしてサビでハモるチャンス?
でもこの歌のサビってどこ?
やっぱ次の転調部分?
てか、低音パートあるの?

コンマ何秒の世界で錯綜するワタシの思考を他所に
彼はじつに気持ち良さそうに
これまたメジャーな転調部分にとりかかった。


「ぶ・た・の、おまわりさん!」(唐突に大声)

!?




…ぶ、ぶたかー
ぶたなのかー。

しかし、
一瞬の肩すかしの後に深く納得。
…そうか。
君は曲の主人公に自己投影したかったんだね。
うんうん。よいと思います。
なんかその自分を客観視したうえで
なおかつ、演出は可愛らしくしてるあたり
なかなか微笑ましいよ。
と、彼の丸くてデカイ背中を改めて眺めつつ

あやうく口ずさみかけた本来の歌詞をひっこめ
陰ながらの理解と賞賛の意をこめて
頭の中で一緒にぶーぶー歌ったった。

ぶ・た・の、おまわりさんー
こまってしまって
ぶーぶーぶぶー
ぶーぶーぶぶー

頬緩む、生暖かい黄昏時。
ああ。
そうか、春、…近いですなぁ。

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ってそれ、曲のタイトル変わっちゃってるよ。
by omifish | 2007-02-14 17:04 | white>black