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翔 ぶ 魚

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読書感想


『料理人』ハリー・クレッシング/一ノ瀬直二 訳
ハヤカワNV文庫 1972年発行

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古本の100円均一文庫の中から、久しぶりにぐいっと引き寄せられる出会い。カバーのイラストからして、良い。
帯が付いていた。その古い帯の裏面に記載されていた書評の一部。
■奇妙で不気味な、サスペンスに富んだ異色作。
■(前略)ミステリの醍醐味を味わえる、いかにも英国的で趣味的な小説の傑作。

早速読む。

素性の知れない主人公が、ある地方の町に料理人としてやってくる。死人の様に痩せた身体。異様に高い背。全身黒ずくめで顔は猛禽類の様である。しかし、彼はコックとして天才的な腕を持っており、雇われた屋敷の住民だけでなく、町中を魅了し掌握していく。

ストーリーは、なんとなく先が見える感じではある。が、とにかくその過程がとても面白く、ぐいぐい引き込まれるのだ。主従がすり替わって行く過程など、鮮やかすぎてどきどきしてしまう。不穏な因子は最初から蒔かれているのに、本の中の住民はなかなか気が付かない。読み手をはらはらさせて、明確な種明かしをしないまま進むのもいい。
話の舞台が厨房の中から、街全体に俯瞰で広がる感じ、象徴のように時折現れる丘の上の無人の城など、映像が頭の中でわあっと広がる。一本の映画、あるいは舞台劇を観ている様な感覚だった。小説の凄みをあらためて実感。
終わり方には賛否両論あるようだが、わたしはいいと思う。イメージでいうと劇画から急に線画の感じになる。盛り上がったのちに急に失速して終わっていく。それはそれで物足りなさも余韻のひとつ。最後のページは眺めるみたいな感覚で静かに読み終えた。

最近しばらく小説離れしていたので、久しぶりに堪能できた小説。訳も良く、思考が途切れることなく、濃厚で楽しい集中した時間を過ごせた。

これは、実際に1970年に映画化されているようだ。帯には映画化された時のであろう白黒写真と「東和配給」の文字が。しかし映画の情報が少ない。果たしてDVDは出ているのかしら…。観たいな。今映画化するとしたら主人公のコンラッドは誰がいいだろうか、ベネディクト・カンバーバッチとか合いそうだけど…など勝手にキャストを考えるのも、また楽し。





by omifish | 2014-02-28 17:34 | 本・映画

右頬に転向


皮肉屋の弊害。
片頬笑い。
左。ほうれい線。戦慄。

性格の矯正。

素直の弊害。
本屋のPOP。『騙されたと思って』。
騙される。愕然。

将来ふとんセールス詐欺受難の恐怖。
部屋中羽毛布団。夜逃げ…

皮肉屋、再開。否応無。

左。ほうれい線再び。諦観。

せめて…左右対称希望!!!

片頬笑い。右に転向。

求む指摘。


※※※


えーとですね、
大体内容はお分かりになりましたね。
最後の一文だけ説明しますとですね、
要はあなた様がですね、
もしわたしと会った時にですね、
わたしがニヒルに左頬だけで微笑んでいたらですね、
そっと指摘してやってください。

もう右にしとけ!

と。

志村後ろ後ろ!的に言って下さっても良いのですが、
心あらば、無言でそっと指差して下さい。

(右!)





by omifish | 2014-02-24 14:34 | 脱皮肉屋宣言

ホラー映画は観ないようにしている。


己の脳は己を知る。

自分が何を嫌悪し、何に恐怖し、
そして何に絶望を感じるのか、
全てを把握しているのが、自分の脳だ。
…恐ろしい事である。
そんな輩が制作総指揮をとり、
強制的に夜毎上映するのが、夢なんだから。

わたしの様な臆病者にとってホラー映画は天敵だ。

そのくせ、うっかり観てしまうと、大抵こう思う。
「あら?もう終わり?」

むしろホッとさえする。

普段の自分の悪夢の方がよっぽどえげつないのだ。
人様にお見せできない仕組みで本当によかった。

なんたって、
己の弱点を知り尽くしている海馬が監督なのだ。
しかもターゲットはただ一人。
そりゃピンポイントさ。絶妙。てか、絶叫。絶望。
一般大衆用に希釈されたホラーに負けるわきゃ無い。
本当に怖いものは睡眠時に上映される。

そんなわけで、ホッとできる既製のホラー映画だが、
それでも臆病者はなるべく観ないようにする。
なぜかって…

熟練の海馬に新たな素材を与えてどうするのかっ!

わたしにとってホラー映画とは、
それ自体を怖がるものではない。

素材だ。






by omifish | 2014-02-17 04:14 | 向こうの町

ヒ、その後



a0040963_2464331.jpg在りし日のヒ。


フライング気味に咲きはじめたものの、
存分に目と鼻を楽しませてくれた今年のヒヤシンス。
盛りを終え、すっかりしおしおになっていた。

オニオンチップスみたくカリカリになった花(※下図1)。
しかし、葉は青々と伸びて成長し続けている(※下図2)。
根っこも白く長くぐるんぐるん(※下図3)。

しばらく見て見ぬふりで放置していたのだ。
花以外は元気なのだから、
お役御免とするのはなんだか忍びない。

それにしても、いい加減どうにかせにゃ。
やはり、捨てるのか。わたしよ。

むんずと頭部(球根部分)を掴む。
すっかりスカスカになっちゃってまあ…。
カフカフした感触。
かまわず花器からずるっと引っこ抜いて
しげしげと見つめる。

ん?

あんら。これは、花?

第二陣が?!窮屈そうに待機してるじゃないの!

おっほう。

すぐさま咲き終わった方の茎を根元から断ち、
新しい花の為にスペースをつくる。
ぐりんぐりんの根っこは再び花器に戻す。
わたしゃ一球根一花だと思ってたよ。

ささ、もうしばらくよろしく。


a0040963_23473270.jpg新生ヒ。



a0040963_23475285.jpg※図1

a0040963_2348775.jpg※図2

a0040963_23481775.jpg※図3

ちなみに、わたしにとっては根っこも観賞対象。
とても美しいと思っている。
決して寄生虫っぽくなど無い。
むかし動物病院の待合室で見たポスターのぉ…
とかでは、無い!
ネバー!!









by omifish | 2014-02-17 02:18 | 植物の窓

迂回



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吹雪の中、ひとり買い出しを志願。

ついでに公園を通ってみた。

木が何本も倒壊しとるがな。

わしわし。遠回りじゃ。



だんだんおうちが遠くなる〜。

いやあ、困っちゃうなあ。

破顔。




by omifish | 2014-02-15 00:49 | white>black


柳の新芽、ミモザの蕾など、
注目するものが盛りだくさん。
散歩も忙しい季節になってきましたね。

柳は新芽の頃、
黄緑の粒々が玉のれんのように天上から連なり、
本当に美しくなります。
柳のある通りは今から日々要チェック。

ひきかえ、
春の代名詞たる沈丁花の膨みは
あえてのノーチェック。
ある日突然香り立つ、の、
突然感を楽しみたいものです。



by omifish | 2014-02-12 22:39 | 植物の窓

口笛病棟


子どもの頃、正規の通学路とは異なる小学校への近道で、精神病院の入院病棟のわきを通る道があった。
今では考えられないが、キチガイ病院と呼ばれていた。

遅刻常習者だったわたしは、親からも学校からも禁止されているこの近道を、まあ、よく通っていた。ほぼ毎日。
病院が何階建てだったのか今定かではないが、上から二番目、左端から三つ目の鉄格子の窓に、その人はいつも居た。

口笛おじさん。

時々見かける他の朦朧とした感じの入院患者とはちがい、そのおじさんはいつも狂気を感じさせないのんびりとした笑顔で窓の外を眺めていて、わたしが通るとピル〜ピル〜と、とても上手な口笛を吹いた。孫に自慢するおじいちゃんのような気安さで。

小鳥のさえずりの模倣、ビバルディの春のメロディ。ハレーションを起こしたように露出開放気味の白っぽい朝日の中で、笑顔のおじさんがピル〜ピル〜だ。なんてのどか光景。鉄格子を除けば。
そのおじさんは、おそらく子ども好きで、他の小学生が通るときもそうやって口笛自慢をしていたのだろうと思う。
しかし、わたしがそこを通る時には大概一人だったので、こちらの感覚としては常に一対一だった。
自分は選ばれたのだ、と、うれしく思っていた。だからいつも目礼した。手を振るのはやり過ぎだと子ども心に思っていたのだ。ただ、ちゃんと聴いている、そして共感している、と伝えたかった。笑顔の無い子どもだったので、笑うわけでもなく見返して目礼。充分、通じ合っていた。

ある日、いつものピル〜ピル〜にわたしは目礼を返さなかった。
遅刻がさらに遅れて急いでいたのか、選曲が気に入らなかったのか、いじわるな気持ちが湧いたのか、今となっては覚えていない。ただ足早に通り過ぎ、背後で鳴り続ける口笛を聴きながら、イライラしたことは覚えている。
そして勝手な気まずさから、その後その道を通るのを止めてしまった。

何週間か、何ヶ月か、しばらく経ってから通った時に、おじさんはもう窓枠の中にいなかった。
己ごときの目礼が何ほどのものかと思う。おそらく、あのおじさんはわたしの目礼など何とも思っていなかった。


…それでも、だ。

こうして今でも思い出す。
切ない、拭いきれない自分勝手な罪悪感とともに。1度くらいピルーっと吹き返してみればよかった。







by omifish | 2014-02-12 18:10 | white>black

牛タン


連続投稿で、雪画像からの肉画像。

白から赤。

いきなりグロい画なのでご注意を。

先月末に牛タンの醤油漬けを作成。


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冷凍の牛タン塊が手持ちの圧力鍋に収まらず、
トンカチを持ち出して解体。

…料理の音じゃないよ。。。

こんな工事音を立てて近所迷惑なのでは…
と、ハラハラする。
一人スプラッターな誕生日の夜であった。

水からボイルした後は、醤油に一夜漬ける。
…だけ。
酒もみりんも無し。
ネギも生姜も要らないと聞いたが、
なんとなく茹でる時にネギと生姜は入れた。

完成したものは何日か保つ。


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食する時には仕上げにレホールソースを。
西洋わさびのペーストに
少量のお酢と砂糖を混ぜ合わせる。
最後の化粧でブラックペッパーを粗挽き。

こ、これはね、酒の肴にすんごくいいよ!
美味よ美味!
手間要らずだし(あ、解体は別ね)。
漬け過ぎるとしょっぱくなるのでそこだけ注意。

ちなみに最後の写真の奥に写っているのは、
友人が作ったリンゴのピクルス。
これがまた、さっぱり美味だった。

リンゴのピクルス!
知らない食べ物との遭遇って楽しい。





by omifish | 2014-02-09 00:21 | うちごはん

二月八日 降っとる。


降っとる、降っとる。

名湯の素的な入浴剤を入れて昼から風呂、
こんな大雪の日は。


禊ぎを済ませたら、いざ近所の公園へ。



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この吹雪の中、けっこうな人出。

池のカモの尻にも雪降りつもる。

ふっかふか。




by omifish | 2014-02-08 19:16 | white>black

O2


最近の読書、映画鑑賞メモ。

本:「雑木林の博物誌」足田 輝一

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以前友人から借りた本。とっても良かったので、探して購入。著者が方々の雑木林を歩いて観察した記録。が、お堅い観察論に収まらない、むしろ静かながらも官能的な植物愛に溢れた内容。引用する野草や自然描写の入った詩歌などのチョイスも素敵。文章が美しい!是非とも他の著作も読みたい。そして読んだら雑木林を歩きたくなること請け合い。


SF小説:「完全なる首長竜の日」乾緑郎
最後のオチと、前半に散りばめられた伏線がシンクロしてないような…そんないきなりな展開!と思わないでも無かったけど、不気味さと、切なさは存分に伝わってゾッと出来た。これは映画化されたものもDVDで観たが、映像はわざとグロさを前面に出してる感じがした。


映画:「ゼロ・グラビティ」
エイリアンの出てこない宇宙もの、孤独ものが好きなので興味があった。観てよかった。評判が良いので、どうせならとIMAX3Dで観てみた。宇宙、ますます恐ろしいなあ。
今回めずらしく大人数(3人)で鑑賞。楽しかったのだが、しかし、存分にあの孤独感と恐怖を味わう為には、一人で前の方に座って、鑑賞後も孤独を噛み締められる状況下の方が臨場感があっただろうな。


宇宙の孤独と恐怖の後は…
DVD:「ターシャ・デューダーの四季の庭」

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以前NHKで放送されたドキュメンタリー。ずっと観たかったもの。
実際手にし、パッケージに漂うメルヘン感に一瞬躊躇するもやはり良い。90歳で一人美しい庭を紡ぐ絵本作家のおばあさんの淡々とした生活。庭、美しいなあ。重力って、酸素って…素晴らしい!
しかし、じつは見通せていない。本もDVDも何をも寝かせておけないわたしが、だ。…眠くなるのだ。自分が寝かしつけられとるがな。…おそるべしデューダー。




by omifish | 2014-02-06 17:40 | 本・映画