裸の王様
ヒヤシンス。
この花に対して思い浮かべるのは、
『理科の教材』
…だった。長いこと。
なんか球根を水栽培だよね?
造花みたいに分厚い花が密集して咲くんでしょ?
というぐらいの認識だったのだ。
水中にみっしり張る根っこの印象が強かったし、
美しい花というイメージは無かった。
認識を改めたのは今年の早春。
友人にもらったブーケにヒヤシンスが入っていた。
(写真右、薄紫の房状の花)
これがねえ…
素晴らしく華やかで柔らかで爽やかな、
とっても花らしい芳香を放つわけですよ。
子どもの頃はプラスチックみたいと思っていた花弁も
そのふっくら感がゴージャスで可愛く見えた。
すってきーと思った。
香る花は大好きだ。
なので、今年は自分で球根から育てることにしました。
小学生の教材になるんだから、簡単でしょう。
まだ根の生えぬ球根を、かっぽりと花器にはめる。
育て方メモには、
初頭は根っこを明かりに当てないために
花器をアルミホイルで覆えという指示。
アルミホイルって…すでに理科っぽい。
この段階では華やかさは一切無い。
むしろアルミホイルの手作り感がかなり痛々しい。
…わたしの抱いた第一印象は
虚構の上にマントをはおった裸の王様だ。
だって根っこもまだだし、水で満たされただけの
何もないガラス鉢の上に銀紙巻いてるのよ。
マントの中は空っぽ。
本当に春には美しく香ってくれるのかヒヤシンス。
待ってるぞヒヤシンス。