ブログトップ | ログイン

翔 ぶ 魚

omifish.exblog.jp

三月十五日 日記

明日試験なのに、まったく勉強していない!範囲すら知らない!
一体私は何をしていたんだ。どうしてこんな事に。と動揺する夢を、大人になってからひっさしぶりに見たのだ。

大好きだった義祖母が亡くなった。
とぼけた笑顔で飄々と冗談を言うようなおばあちゃんだった。孫の嫁にあたる自分も随分と目をかけてもらっていた。

倒れたという報せを受けてからは、唯一の男孫である家人の嫁としてバタバタと動きまわる。
ほぼ初対面の田舎の親戚は、みな本当に気の良い人たちだが、定型通りに「子供は?」攻撃を繰り出してくる。んもう、定型過ぎて、いっそ非現実的ですらある。セリフっぽいって言うか。シナリオの中の『嫁役』感がすごい。「自分、今、超嫁っぽい!喪服だし。」と心の中でひっそりと笑ってしまった。

夜遅く家に帰ると、ケージの中で留守番させていた猫が、キャワーキャワーと騒ぎ、トイレにこんもりと山を作っている(排泄したあと砂をかけて盛るから)。微笑ましい小山だ。なので気をとり直し、「ザックザック〜お宝探し〜」とブツを掘り出し後始末をする。
翌日からは休みをもらっていた分みっちり詰まったシフトで、溜まった仕事の処理に明け暮れる。

わたしが義祖母に贈った誕生日プレゼントは、結局、義祖母の目には触れぬまま、棺の中に収まり、一緒に火葬された。
正月に家人の実家で会った時に、次の誕生日に欲しいものを尋ねると、いつもは何もいらないという祖母が、珍しく「白いシャツが欲しい」と言うので、嬉しくなった。
特別に白くてフワフワの素敵なやつを選んだのだ。しかし、誕生日には間に合わなかった。2日遅れて荷は着いた。
義祖母は94歳の誕生日の後に倒れ、病院で意識を回復させること無く、翌日そのまま息をひきとった。
着てはもらえなかった。見てももらえなかった。約束を守れなかった。虚しさが疲労した身体に滲みる。

葬儀が済んでも3日間は夜寝ても細切れで、夢も見無かった。
ようやく休日にまとまった睡眠をとった今朝の夢が、冒頭の『試験の夢』だ。
…我ながら、なんと言うか、動揺が分かり易過ぎるやろ。



by omifish | 2015-03-15 11:34 | 向こうの町
<< 足裏の一粒 夜中のミモザ >>