ブログトップ | ログイン

翔 ぶ 魚

omifish.exblog.jp

vol.78 プルースト現象

Side white

(長いからね。)

皆さんもご経験があられるだろうが
匂いってやつはダイナミックかつ
ドラマチックに記憶を呼び覚ましやがるのだ。

その奇襲ぶりといったら、もう、あなた。
ビジュアルや音楽といった他の情報の比じゃない。
いきなりギュウと感情をワシ掴みにされる感じだ。
不意打ちを喰らったこちらは
「え?え?何この感覚?これってなんだけ?」となる。
つまり
感情的な懐かしさだけが先行して
細かな背景は後から浮き上がってくるのだ。

はなはだ陳腐な例えで恐縮だが…

***
女が街中で人混みの間をぬうように
足早に進んで行く。
と、
雑踏の中で懐かしい香りを嗅ぐ。
切なくも甘やかなこの「知ってる」感じは何?
デジャブ?いや、これは…?
あわてて振り向くがもう誰が誰だか分からない
立ちすくむ女。
「これは…あの頃あの人が着けていた香水の香り…」

(Yesterday Once More/Carpenters)
回想シーンのフラッシュバック

***

みたいなね。
一昔前のラジオCMみたいなね。
ロマンチック(?)な展開のアレね。
例えだよ。すまんね。ベタで。

ちなみに、このある特定の匂いが
それにまつわる記憶を誘発する現象は
「プルースト現象(プルースト効果)」と呼ばれる。

フランスの文豪マルセル・プルーストの代表作
「失われた時を求めて」の文中において、
主人公がマドレーヌを紅茶に浸して
その香りをきっかけとして幼年時代を思い出す。
という描写に起因しているらしい。
…へえぇ
これまた、なにやらロマンチックなネーミングですな。

でだ。
こんなロマンチックな現象にも
もちろん、科学的根拠があるのである。
サイエンス万歳!

「脳」のおさらい。
・海馬=「記憶」を司っている
・扁桃体=喜怒哀楽、つまり「感情」を司っている
・海馬と扁桃体は隣接しあっていて密な関係

で、
五感の中でも嗅覚の情報だけが扁桃体に直接入力される。
味覚や触覚といった他の感覚情報は
脳の他の部分へと経由される。
つまり
感情にダイレクトに繋がってるのは匂いのみってこと。
よって
嗅覚によって想起される記憶がより情動的であり
他の感覚器によって想起される記憶よりも正確である
ということの裏づけになる。
(図:参照)

a0040963_1810673.jpg(図)


(記憶のストックにある)匂いを嗅ぐ<嗅球>

まず、ダイレクトに当時の感情が呼び起こされる
(悲しい!とか嬉しい!とか)<扁桃体>

それに起因してその匂いにまつわる
あらゆる記憶情報(映像、時代背景、音など)が
隆起してくる<海馬>

懐かしさにうち震える<前頭葉?>

って寸法である。
脳の構造、記憶の仕組みのなせる技。
…あら…別にあまりロマンチックじゃないわね。

ところで、
先日ワタシが陥ったプルースト現象である。
ワタシは電車の中で靴を脱いでくつろぐ
小汚いじいさまの隣にそれと気付かず座ってしまったのだ。
しばらくすると、なぜか、せつないような、可笑しいような
愛しいような、そんな感覚に教われて一瞬「?」となった。
!!!!!
おおおぉぅ!
こ、これは…
むかし飼ってたビーグル犬の耳の内側の匂い…
○○〜…(←犬の名前)
胸中でせつなく泣き笑い。
耳垂れ犬って耳の中の通気性が悪いから結構クサいんだよ。
でもよくペロってめくってくんくん嗅いでたんだよ。

…全く。全くロマンチックじゃない。。。

Side black
火事現場に野次馬に行ってボーイスカウト時代の
キャンプファイヤーを思い出してた奴がいた。
生理現象?とは言えちょっと不謹慎。

by omifish | 2006-11-28 17:45 | white>black
<< vol.79 没になった古拙の微笑 vol.77 気になるB君! >>