五月五日 スプレーチョコ
久しぶりに見たのだ。
それなるものを。
先日入った喫茶店は、怪し気であった。
入口からして。
なにしろそこは、横浜の地下街の外れの外れだ。
間口は狭く暗い。
扉は木製で、窓は年月による自然な曇りガラス。
その磨りガラスに貼ってあるシールの店名は
半分以上、剥がれかけている。
中にはカウベルが垂れてる。
なんか、和風の、布小物もぶら下がってる。
んもう、外から見るだけで
平均年齢層高め、
喫煙者率高め、
漫画雑誌とスポーツ新聞率高め、である。
こりゃぁやばいね、と思いつつも
興味本位で、入ってしまった。
へんぴな所にあるにもかかわらず、ほぼ満席。
そして全員ご老人。
その店のマスターとお客の平均年齢は
おそらく60は超えてたね。
で、私はというと、普段ならまず頼まない
「アイスロイヤルミルクティー」
を注文したのだよ。
胃も弱ってたし、まろやかなものをと思って。
ん?これは…なんて言ったっけ?
スプレーチョコ…?
スプレーチョコ、かかっとりますがな。
ロイヤルミルクティーに…
思わずマスターの顔を伺ったら、目が合った。
…薄く微笑んでる!
…
うふ。
…
スプレーチョコってちゃんと味がするのね。
…ケミカルな味が。
(本当はワタシは生クリームもいらないんだよ。)
禁煙中だけど、
ふとタバコが吸いたくなった瞬間である。