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翔 ぶ 魚

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十一月十七日 


温かいものを飲もうと紅茶をいれたのだが
気が付くと口をつけることなく冷めていた。
こんな冷たいものは飲みたくないと熱い紅茶を入れ直し、
それもまた冷めさせてしてしまう。
そんなことを3回くらい繰り返してから
ぼんやりとコーヒーにしようかなと思う。
そうだコーヒーショップに飲みに行こう。
今すぐ。
今すぐ行かねば。
頭の中で百回くらいコートを羽織ってマフラーを巻く。
マフラー巻いて。
マフラー巻いて。
マフラー巻いて。
マフラー巻いて。
マフラー巻いて。
冷たいマグを握りしめたまま
みの虫の様にぐるぐる巻きになり、一歩も踏み出せない。
窓の外の空がどんどん暮れていく。



by omifish | 2011-11-17 16:34 | white>black | Comments(2)

官能屋さん

散歩中に見かけるカレー屋さんの売り文句は

「ものすごく惚れた人に口の中を撫でまわされる感じ」

そげな恐ろしいものを口にする勇気の無いワタシは、
むしろ、この店経営の方は大丈夫なのだろうか、と
いらぬ心配をしてしまうのだ。
アグレッシブさは時として人との間に温度差を生むと思うの。
過去に堕ちてゆくカレー屋さんが閉店するのを
見届けたワタシとしては、ハラハラするばかりだ。

なにせこの店の看板には、店名よりも大きく
「果ての果てまで行ってみないか」と書かれているのだ。
うーん挑戦的。
そっと目をそらしたくなるような危うさだ。
だいたい、道ばたで突然そんな誘いを受けて
ホイホイついて行くような人がいるものか、と
そんなヤツは危機管理がなっとらんぞ、と
ガラス張りの店内を覗いてみたところ、
…これがいた。そんな勇気ある心の旅人が。
どうやら人気店らしい。
むしろ心の旅人たちの憩いの地なのか。
大変失礼いたしました。

観察の結果、
「ものすごく惚れた人に口の中を撫で回されて」いる人の
表情は案外と平然としたものだ。
無表情と言ってもいいくらいだ。
もしかしたらめくるめく官能の嵐を押さえているのかもしらんが。

それにしてもなあ。。。
官能への扉の敷居はなかなか高い。


by omifish | 2011-11-09 20:44 | white>black | Comments(4)

この指ってやつは。

いつかやろうと道具を揃えていた。
刺繍のはなしだ。
ようやく手を出した。

なんだこの感じ、知ってるぞ。
にわかによみがえる被服室のほこりっぽさ。
運針どころか玉結もおぼつかないダメ生徒だった。
思うように動かない自分の手指に愕然とし、
途方に暮れて窓の外ばかり眺めていた。

しかしそれはあくまでも過去の記憶のはず。
こどもの頃のワタシのはなしであって、
ほら、手先の動きなんてのは、あれでしょ。
大人になるにつれ自然に発達するもんじゃないスか。

て、…とんでもない。

こんなにも、こんなにか!
こんなにまでもなのか!!
この指って言うヤツは!!ぐぬぬぬぬ。

周りの裁縫上手につられて夢でも見たのか、おれよ。

…さ、練習、練習あるのみじゃ。

玉結びからな!

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by omifish | 2011-11-07 14:15 | white>black | Comments(0)